中央が神様の木偶、脇に控えているのが三番叟 |
開演の1時間前から会場内には既に観客の姿がちらほら。曇り空で少し不安な空模様でしたが、皆さん公演を楽しみにしているんだなぁ、と感じた瞬間でした。
まずは「奉納三番叟」から公演が始まります。人形遣い勘緑氏率いる「木偶舎」と「丹生谷清流座」の競演です。社の陰から登場した一体の木偶が音楽に合わせて舞を披露し、それに続いて登場した二体の三番叟が、右へ左へと交差しながら軽やかに舞い踊り、三体で揃って舞台へと上がり、客席に向かって挨拶。
拝宮農村舞台に保存されていた襖絵と、新調した襖絵の4枚を使用したふすまカラクリ。拝宮農村舞台で上演されるのは、なんと半世紀ぶりのことだそうです。登場した襖一枚一枚に迫力があり、新たな襖が現れるたび客席からは大きな拍手が送られていました。
舞台転換を挟み、次は拝宮農村舞台ではお馴染みとなっている「拝宮ゑびす舞」。
「拝宮人形座」が操るゑびす様が舞台上をコミカルに動き、鯛を釣り上げ会場を沸かせます。
しかし、ここでついに曇り空から雨粒が。一瞬のうちに激しい雨となりましたが、幸いにも、暫くすると小雨になり、そのまま公演は続行されました。
増補大江山のクライマックス、渡辺綱と鬼が死闘を繰り広げます |
鬼退治を任されている渡辺綱とその娘若菜が出会い、道行きを共にするのですが、実は渡辺綱が探していた鬼がその娘だったのです。
綱に正体を見破られた娘は一瞬で鬼の形相となり、更には本来の姿へと変わっていきます。息をつかせぬ展開に観客は見入り、舞台の上では二体の人形が刃を交えて大立ち回り。
舞台の背後に広がる、雨に濡れた木々の緑が印象的な演目となりました。
小雨も上がり、続いては猿若秀延氏らによる日本舞踊。「ことぶき」「剣山」「菖蒲売」の三つの演目が披露され、優雅な舞に観客も魅了されていました。
八体勢揃いの「寿三番叟絵巻」、客席にも福を蒔いてくれました |
大夫の語りと三味線の音色に合わせて、二体ずつ三番叟が登場し、順番に会場へと移っていきます。あちこちで三番叟が鳴らす賑やかな鈴の音が。
合計七体の三番叟が舞台上に勢揃いすると、最後に奉納三番叟で登場した、勘緑氏の遣う木偶が最後に再び現れ幕引きとなりました。