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2012年6月7日木曜日

拝宮農村舞台が開催されました!

中央が神様の木偶、脇に控えているのが三番叟
5月20日、徳島県那賀町の白人神社にて拝宮農村舞台が開催されました。
開演の1時間前から会場内には既に観客の姿がちらほら。曇り空で少し不安な空模様でしたが、皆さん公演を楽しみにしているんだなぁ、と感じた瞬間でした。

まずは「奉納三番叟」から公演が始まります。人形遣い勘緑氏率いる「木偶舎」と「丹生谷清流座」の競演です。社の陰から登場した一体の木偶が音楽に合わせて舞を披露し、それに続いて登場した二体の三番叟が、右へ左へと交差しながら軽やかに舞い踊り、三体で揃って舞台へと上がり、客席に向かって挨拶。

最後に現れた龍の襖絵。大迫力…!
続いて「拝宮谷農村舞台保存会」による「拝宮ふすまカラクリ」の上演が行われました。
拝宮農村舞台に保存されていた襖絵と、新調した襖絵の4枚を使用したふすまカラクリ。拝宮農村舞台で上演されるのは、なんと半世紀ぶりのことだそうです。登場した襖一枚一枚に迫力があり、新たな襖が現れるたび客席からは大きな拍手が送られていました。

舞台転換を挟み、次は拝宮農村舞台ではお馴染みとなっている「拝宮ゑびす舞」。
「拝宮人形座」が操るゑびす様が舞台上をコミカルに動き、鯛を釣り上げ会場を沸かせます。
途中、音頭がどこまで進んだか分からなくなるというハプニングがありましたが、それさえも会場の笑いとなって和やかに幕を閉じました。
しかし、ここでついに曇り空から雨粒が。一瞬のうちに激しい雨となりましたが、幸いにも、暫くすると小雨になり、そのまま公演は続行されました。

増補大江山のクライマックス、渡辺綱と鬼が死闘を繰り広げます
雲に太陽が遮られ、やや薄暗くなった会場で「青年座」による「増補 大江山戻り橋の段」の上演。夜更けに橋の袂で一人たたずむ美しい娘の妖しげな雰囲気が、更に引き立てられるようです。
鬼退治を任されている渡辺綱とその娘若菜が出会い、道行きを共にするのですが、実は渡辺綱が探していた鬼がその娘だったのです。
綱に正体を見破られた娘は一瞬で鬼の形相となり、更には本来の姿へと変わっていきます。息をつかせぬ展開に観客は見入り、舞台の上では二体の人形が刃を交えて大立ち回り。
舞台の背後に広がる、雨に濡れた木々の緑が印象的な演目となりました。
小雨も上がり、続いては猿若秀延氏らによる日本舞踊。「ことぶき」「剣山」「菖蒲売」の三つの演目が披露され、優雅な舞に観客も魅了されていました。

八体勢揃いの「寿三番叟絵巻」、客席にも福を蒔いてくれました
そして最後は「寿三番叟絵巻」の上演。拝宮のオリジナルとして勘緑氏が、「青年座」「ポラリス座」「丹生谷清流座」「とくしま座」、4座七体の人形を遣って寿二人三番叟の上演を考えついたそうです。
大夫の語りと三味線の音色に合わせて、二体ずつ三番叟が登場し、順番に会場へと移っていきます。あちこちで三番叟が鳴らす賑やかな鈴の音が。
合計七体の三番叟が舞台上に勢揃いすると、最後に奉納三番叟で登場した、勘緑氏の遣う木偶が最後に再び現れ幕引きとなりました。

公演終了後には、福をおもち帰り、ということで餅投げも行われ、最後まで楽しい農村舞台公演となりました。


開演前、既に客席が埋まり始めていました
社から舞台へと移動。厳粛な空気に…
舞台に上がり、客席に挨拶


楽しげなゑびす様、陽気に踊ります
「ガブ」と呼ばれる一役頭、娘の正体が…!
渡辺綱と娘若菜が出会います

鬼が正体を現し、舞台上では緊迫の一瞬!

猿若秀延氏の「菖蒲売」
最後の幕引きも三番叟が…